研修 過去の大会

45回大会(夏研)の振り返り 夏の研修大会 の記憶から(その2)

 会長 堀井武彦

2023年8月3日(木) 会場:東京学芸大学附属竹早小学校
第45回児童造形教育研究会 夏の研修大会(対面・オンライン併用)
<大会テーマ> サイコー再考「たのしい図工」〜やっぱり図工はおもしろい?〜
授業形式提案 ―「布」―を使った造形遊び


2023年度もまとめに向かう2月後半入り、半年前の夏研を振り返るというのもタイミングを逸していますが、2023年度を振り返る(笑)、と自己弁護承知で臨めば、感慨深い記憶として4年ぶりの対面開催に加えて東京学芸大学附属竹早小学校の子ども達の参加を得て実践公開できたことがあります。椎橋元貴先生が竹早小学校1年生の子ども達と「布」を使った造形遊び(主旨詳細は当該ブログ参照)の活動公開を担当しました。椎橋先生は幼児教育が専門ですが、小学校現場の立場からは、保幼小のつながり(「幼児期の終わりまでに育ってほしい『10の姿』」等)を考える上で的を射た適任でした。造形遊びは材料や場所の特徴から子どもが思い付いた活動をすることが基本理念です。授業者と子ども達は全くの初対面で、日常的には幼児対象の造形活動を実践研究している授業者という場の設定自体も何がしかの影響を引き出すことは考えられます。しかし、そこは、1年生とは言え附属小学校の子ども達、外側から見れば参観されることで特に物怖じしている様子はなく、「個別最適」かどうかは椎橋先生からの報告に任せるとして、各々の個別性を発揮していたように見受けられました。


「平田智久先生の平田節がききたいね!」
平田智久先生(十文字学園女子大学名誉教授)は幼児教育の視点から子どもの造形活動について児造研においても牽引されてきました。コロナ禍の余波も収まり、対面開催が可能になったタイミングで「平田節を久々にききたいね!」と運営委員会で話がまとまり、薄井淳先生の実践報告や椎橋先生の授業公開の講評を織り込んでトークセッション(薄井ブログ参照)を設定することになりました。
 個人的には「平田節」を振り返ると、大きくは、教科性や狭義の評価観に収斂しがちな小学校図画工作科に対しての「ダウト!」が印象に残っています。個別の課題に対しても「そこのところにダウトをかける必要があるんだよ」と穏やかに、そして熱く語られていた姿を思い出します。Webilo辞典実用日本語表現辞典によると「ダウト(doubt)とは、英語で『疑う、疑わしく思う、信用しない』という意味の表現であり、転じて『それは嘘だ』という(相手の嘘を見抜き指摘する)宣言として用いられる表現である。」と解説があります。当然、平田先生は「それは嘘だ」なんて言う意味では使われませんでした。しかし、常に子どもの内面の事実に寄り添った視点で造形活動を見通されていた平田先生からの、図画工作関係者が自明なこととしての思い込みへの「待った!」のメッセージだったと、その当時も、そして今も胸に刻んでいます。
 研究会や絵画展審査でご一緒した際、昼食後に「堀井さん、ちょっと、行こうよ!」と声をかけてくださり、同じ嗜好の仲間として嬉しかったです。
 平田先生!そちらでは気兼ねなく一服できますか?   

  合掌

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