練馬区立豊玉第二小学校 河村 泰正
造形遊びは、図画工作の中でも、特に難しさを感じやすい活動だと思う。
絵や立体・工作と比べて、子どもが考えること・やることの幅がとにかく広い。
材料も、用具も、場所も、そして「何をするか」という行為も一つではない。友達との関わりの中で、途中で活動がガラッと変わることも珍しくない。1・2時間の中で、いくつもの展開が同時に起こる。
この自由さこそが造形遊びの面白さではあるが、同時に、「楽しそうに活動していたけれど、結局何だったのかな…?」という子どもに委ねるだけの授業になってしまう怖さもある。
ただ自由にやらせることと、造形遊びとしての学びを成立させることは、やっぱり違う。
だからこそ、造形遊びには「委ね方」が大事だと思っている。
方法を決めるより、環境を考える
造形遊びのやり方は、なかなか「この通りやればOK」とは言えない。
子どもの実態も、学校の環境も、クラスの雰囲気もそれぞれ違うからだ。
学習指導要領を読んでいても、画一的な方法より、「目標」「内容」「環境」をどう構想するかが繰り返し強調されているように感じる。
私が大切にしているのは、授業前に「子どもはどんなことをしたがるかな?」「どんな動き方をしそうかな?」とできるだけ想像しておくこと。
そして授業中は、子どもの様子を見ながら、関わったり、あえて離れたり、環境を少し変えてみたりする。
授業後には、「あの場面、よかったな」「ここはもう一工夫できたな」と振り返り、次につなげる。
この積み重ねが、「委ねる学び」を支える土台になると思っている。
委ねる学びを支える4つの環境視点
① 材料:ストックしておく
造形遊びは「準備が大変」「1回の活動で材料がゴミになる」と思われがちです。でも、紙コップ、割り箸、木切れ、布、キャップ類、小石、粘土など何度も繰り返し使える材料は案外多い。
これらを常に使える「ストック型材料」にしておくと、準備の負担はかなり減る。
一回きりの材料は、余力のある時にやることで、準備にもゆとりが生まれる。また、1回きりの材料も、子どもに聞くと、「これ持ち帰ってもいい?」と愛着ある材料として気に入った部分を持ち帰る子どもは多い。きっと、活動の中で子どもの心に残る大切なものがあったのだろう。
私は、陶芸小屋の半分程度を造形遊び倉庫にしていて、そこにストック材料を保管しておき、授業で使うときだけ出している。
② 用具:行為をしぼる
造形遊びで大切なのは、「何を使うか」と同時に、「何をするか」。
用具を出しすぎると、子どもは迷う。行為が多いと、活動が散漫になる。
「今日は“つなぐ”ことを楽しみたい」と決めたら、その行為に必要な用具だけを出す。
すると、技能指導は減り、子どもは活動そのものに集中できる。
③ 場:いつもの場に造形的な視点をもたせる
空き教室や魅力的な会場がなくても、造形遊びは十分に楽しめると感じる。
例えば、導入する場所を変えるだけでも、いつもの教室が造形の材料になる瞬間はたくさんある。
「図工室の床ってこんなに広いんだね」「机の中って薄暗いな。何か楽しいことができそう」
その視点をもたせることが大切だと思う。
教師が用意した場が、子どもの手で「造形的な環境」に変わっていく過程こそ、造形遊びの面白さだと思う。
④ 時間:片付けも授業
片付けの時間は、材料の扱い方や、友達との関わり方、その子なりの終わらせ方が一番よく見える時間でもある。
見通しをもった時間設定をすれば、片付けは「大変な作業」ではなく、成長が見える学習の時間になる。
評価は、次の授業をよくするために
造形遊びは変化が大きいからこそ、活動中の見取りがとても大切だ。
写真を撮ったり、声をかけたり、様子を観察したりしながら、「今、何に惹かれているのか。どんなことを考えているのか。」を捉えて、子どもの思考を追っていく。
一方で、授業後の振り返りも欠かせない。
私は、低学年では「楽しかったこと」、中学年では「試したこと」、高学年では「考えたこと」を言葉にさせている。
評価は結果をつけるためではなく、次の環境を考えるためのヒント。
そう考えると、少し気が楽になる。
おわりに
造形遊びは、子どもの主題性が広いからこそ、教師の関わりもシンプルにはいかない。
でもだからこそ、子どもを見て、考えて、環境を少しずつ更新していく面白さがある。
「委ねる」ことと「放っておく」ことは違う。
その間をつなぐのが、環境設計なのだと思っている。




