過去の大会

44回大会(夏研)振り返りとまとめ

2022年の第44回児童造形教育研究会は3年ぶりに対面を交えた夏の研修会を開催することができました。3年間で培ってきた、オンライン型、サテライト型(複数会場の中継)などの運営経験を生かし、2022年度はハイブリッド型(対面+オンライン)で行いました。運営の便宜的配慮からコロナ禍以前より時間を少し短めに設定しましたが、内容はこれまでと同様に全体会で取り上げたテーマを、その後の実技研修会で体感しながら考察を深める本研修会の醍醐味を維持するように努めました。

全体会のテーマは「子どもからはじまる造形活動~図画工作のコベツサイテキとは~」としました。本研究会では、中教審答申を契機に注目された「個別最適な学び」の概念を、「図画工作の授業の中で既に埋め込まれているもの」として子どもの視点から個別最適を捉え直そうという想いで今回の全体テーマを選びました。

 全体会では実技研修を担当する堀井、北川、薄井、大泉の4名が登壇しました。会場ではスタッフを含む対面参加者51人、オンライン参加者31人の先生方と共に図画工作科の個別最適な学びについて考える機会となりました。本研修会で心掛けていることは、一般的に講習会や研修会でありがちな「新規題材や新規概念の一方的伝達」というスタンスを取らないようにすることです。全体会でも登壇者がそれぞれの視点で個別最適な学びについて語り、ご参会の皆様と協働的に、オープンエンドに学びを形成する場となるように心がけました。運営スタッフ、参会者がそれぞれの立場で感じ、深めながらもモヤモヤと未消化な概念を、後半の実技を通して語り合い、体感したことを共有し合う場を創造することを本研修会の主旨としています。

では、後半の実技研修の様子を紹介します。堀井が担当するAコースでは中・高学年向けの工作として紙コップを切り開き、開く行為が表現活動に発展していく中で造形的な見方・考え方について探究する活動を行いました。薄井が担当するBコースでは、中高学年向けの造形遊びとして、ストレッチフィルムを使って身近にあるものを包む活動です。包んでいく中で意味や用途が失われ、別の「なにか」に変化していく造形遊びを行いました。

大泉が担当するCコースでは、低・中学年向けの絵に表す活動として、個人用水彩絵の具セットを使った活動を行いました。用具を適切に扱うということはどういうことなのか、個別最適な学びを柱に、適切な用具の扱いを通した学習環境デザインについても考えました。北川が担当するDコースでは、中・高学年を対象として、ICTを活用して動きを捉えるためにたくさんのアプローチが提案されました。油粘土や針金を用いながら、ICT機器と組み合わせることで動きが捉えやすくなるなど、個別最適な学びを考えながら実際の授業に落とし込んで考える時間となりました。

 対面参加者は2つのコースを選択し、オンライン参加者は4つのコースを自由に往き来します。対面参加者とオンライン参加者、児造研スタッフでざっくばらんに交流を交えながら学びを深める一日となりました。

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