横浜国立大学教育学部附属鎌倉小学校 斉藤洋介
「しーん」と静まり返ったワークショップ会場。
ワイワイとにぎやかな雰囲気で題材と触れ合っていた1つ前のワークショップ(苅谷先生のご提案)とは違う雰囲気でした。
私のワークショップで主に見られたのは、参加者のみなさんが指先で紙バンドと向き合っている時間です。
「こうしたらどうなる?」と参加者が紙バンドを操作すると、「こうなるよ」と紙バンドは形を変えて答えてくる。
黙々と形が変化していく紙バンドと対話するように活動をしている参加者の方々が印象的です。

造形遊びの活動であれば、材料の特徴に気付いた児童のつぶやきを板書に書き足しながら様子を見取ります。「こうしたいな」という願いと「その活動をしている子」がマッチするように「なんか似たようなことをしている子があっちにいたな。」なんて、とぼけたつぶやきをしながら活動を活性化させていきます。あるいは、「うおーそうきたかー!」なんて大袈裟なリアクションと大声をあげて、周囲の注目を集めさせる演技をしたりもします。
立体の表現であれば、まず1m程に切った紙バンドを渡し、材料のよさ(特徴)について触りながら確認した後にクラスで共有し、これを活かしてどのような表現ができるだろうかイメージを膨らませてから活動を始めます。また、立体を表現する空間を意識する手立てのために台座(30×50cmのダンボール板)を様子を見て配付します。必要ない子には渡しません。
今回のワークショップ中には、出入り口に紙バンドを加工した作品をぶら下げた参加者の方がいました。あのぶら下がっていた感じが今見てもたまりません。会の最後の方には、いつのまにか下に毛糸が置かれていたのです。誰かの「感じ」と誰かの「感じ」が重なり合った見事な空間でした。(そして参加者のみなさんはそれらを避けて通るのです。その姿がまたいい感じでした。)

ただ、私個人としては、高学年で扱う造形遊びを今回は想定していなかったので、このよさについてワークショップ内で取り上げませんでした。今思えば、「ねえねえ、みんな見てみて、すごいのがあるぞ!」とその価値を取り上げて、参加者の活動を、机上から空間へ移しても良かったのかなと反省し続ける今日この頃です。
ワークショップのみならず、オンラインのカメラマンも担当させていただきました。子どもならまだしも、活動中の先生方に「それって何?」や「これどうなってるの?」なんて作品についてどう撮影しながら聞けばよいかなと考えていたところに、すごい勢いで参加者の方に話しかけている先生がいました。奈良女子大学附属小学校の服部先生です。
服部先生の質問の言葉選びや、応答に対するリアクションの姿から、実際の子ども相手にはどのようにしているのか聞きたくて仕方なくなり、ワークショップ中の先生にインタビューをするという失礼極まりないことをしてしまいました。が、快く(と思っています…)お答えいただき、聞いた私も、会場の近くにいた先生方、オンライン参加者の方も充実した時間を過ごせたのかなと思います。このような研究会でつながれるよさは、このようなところにもあると感じます。
ワークショップ後、改めて材料の購入方法について質問がありました。実際に購入してご自身が実践してみたいとのことでした。
私が発掘して紹介した訳ではない「紙バンド」ですが、各地の先生方とつながるきっかけをくれた「紙バンド」を皮切りに、これからも私自身日本全国の先生方とつながっていきたいです。ありがとうございました。

