Cコース「体で感じる土ねんどの魅力」実践の事前紹介
北川智久
8月1日の夏研で、土ねんどの実技講座を担当します。
「ぐりぐり、ほじほじ。にょろにょろ、ぺたぺた。こねこね、積んで、ぐいっと曲げて。糸で切ったらピッカピカ。水をかけたらネットネト。グイッとひねって大へんしん。ふしぎなカタチが生まれたよ。そうだ、ねんどはこうでなきゃ!」
こんな感じで楽しみたいです。
最近の油ねんどはにおいも手ざわりもよくなりましたが、やはり可塑性は土ねんどが一番です。
土ねんどというものは多くの種類があります。今回は、一般的な彫塑用ねんどという粒子が細かくて手ざわりがなめらかな粘土です。水加減を適正にすることで、子どもの握力でもぐいっと伸ばすことができます。乾いて固くなると扱いにくくなるので、水分管理がたいへんでもあります。
実は、数年ほど彫塑用ねんどを乾燥させてカチカチにしたままになっていたのを、この研修会をやることで再生させようと自分にムチを打って計画しました! ぜひ、土ねんどのよさを、参加者のみなさまと一緒に味わいたいと思います。
同じ土ねんどという素材でも、授業の形は様々に考えられます。
①ねんど体操
初めて土ねんどを扱う子どもとは、ねんどを切る、丸める、こねる、積む、のばす、などなど様々な扱い方を体験します。そうすることで、ねんどはより分子が活発に動いて扱いやすくなりますし、人の心も開かれていきます。少し汗ばむぐらいに、ねんどと格闘することもあります。
②想像の生き物をつくる
ひねり出しの方法を中心的に使って、ねんどの形を変えていきます。ひねり出しやつまみ出しとは、ねんどの塊をちぎらずに部分的に伸ばしていく方法です。塊から一本ひねり出したものは、きのこにも見えますし、横にすればオタマジャクシのようにも見えます。もう一本ひねり出して2本にすると、ウサギの顔のように見えます。3本、4本、5本と増やしていくと、立つ動物のようにも見えます。胴体をグイっと絞るようにのばすと、具体的な胴部のような形になります。
この方法を中心的に使い、想像の生き物をつくります。ねんど体操が不十分だったり、ひねり出しが不十分だったり、心の耕しが足りなかったりすると、子どもはねんどを丸めたり四角くしたりしたところに手足をつけて、顔をねんどベラでちょいちょいと描いただけの、冷蔵庫のようなフォルムの生き物をつくることもあります。
ある先生の授業で、子どもたちの粘土が「あまり動いていない」という様子が見られました。もちろん、指導している先生も気づいていました。一人の子どもが「なんじゃこりゃ」というようなぐねぐねの生き物を、ひねり出しの方法を上手に使って表していました。そのとき、その先生が機転を利かして、みんなにこう言いました。「〇〇さんみたいに、『なんじゃこりゃ』、をつくろう!」と。その一言があってから、子どもたちの活動が変わりました。
③ねんどの協働活動
②では、個人の活動のイメージをお話ししました。
ねんどは、協働で活動してもおもしろいです。教科書題材を見ても、個人のねんどの他に協働のねんどの活動が紹介されていることがあります。そういう題材では、「〇〇をつくろう」という具体的な目標よりも、「ほって、けずって、ひらめいて」のような、行為やオノマトペで示すことで即興性が増したり、行為から発想して次の展開を思いつくような思考につながりやすいです。
個人の活動でも十分楽しいと感じられますが、協働の活動となるとまた違った楽しさを味わうことができます。そのよさを体感していただきたいです。
思い出しました。「ほって、けずって、ひらめいて」の原題は世に出ていませんが、「ぐりぐり、ほじほじ」でした。なんだか、この「ぐりぐり」や「ほじほじ」が活動のイメージにぴったり合います。
さあ、あなたも、いっしょに「ぐりぐり、ほじほじ」しませんか?
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