冬研 大会 2025

人と環境、そして造形を通した空間

横浜国立大学附属鎌倉小学校 斉藤洋介

 「新潟県長岡市」
 みなさんなら、何をイメージするでしょうか。私は「長岡ラーメンを食べたい」、「長岡花火大会を佐渡島から見たことがある」、そして「おいしい日本酒吞みたい」となります。
 今回の冬研は新潟大学教育学部附属長岡小学校にて開催されました。前泊の余韻を残しつつ長岡で触れる造形の世界は、貴重な体験となりました。
 私はオンライン配信をしている粟津先生の補助として、会場の空気を画面越しに伝えようと、手持ちのスマホを持って動き回ります。実際に手を動かし体験する機会はありませんでしたが、参加者全体の雰囲気を感じられたよい機会でした。その視点から振り返りたいと思います。

① 椎橋先生【幼保現場向け実技研修「クレパス」】
クラフト紙が教室を飛び出し、廊下のいたるところに現れていきます。その後に、クレパスを手に持つと自然と「描きたい」や「表したい」の気持ちが生まれていく環境でした。
参加者のみなさんは、貼り付けられたクラフト紙から「表したいことを見付ける」…というよりは、「表したいことを感じて」いました。壁紙の模様、廊下の柱、ものの形、クラフト紙を通して見える雪景色など、さらには空間などを感じている方もいました。
感じたことを表し、新しく感じ、また感じたことを表し続けるという、いつまでも続く参加者の「描きたい」、「表したい」を生み出したクラフト紙の環境でした。


② 大塚先生【「じぶん絵の具」で描こう】
たくさんの材料が並べられています。あまり見ない材料に興味をもつ参加者のみなさん。いざ活動を始めると、実際の手触りを通してその材料を感じていました。
並べられた場所で思い思いに試しながら取ろうとしているので、大渋滞が起こります。参加者のみなさんが一つの机を囲むように向かい合わせとなり、中心に材料がある環境から、「それいいね!」や「どの材料を組み合わせたの?」と、会話が生まれていました。
机に戻ると、さらに手触りを感じながら描いていきます。取った材料を画用紙に広げていくと、どこかで嗅いだことのあるにおいがしてきました。嗅覚まで使った絵の表現に参加者のみなさんもわくわくしていました。


③ 堀井先生【「せんのぼうけん(日本文教出版)」を通して】
丸シールを画用紙に貼る参加者からは、「ここから何が始まるんだろう」というワクワクの雰囲気を感じました。好きな色の絵の具をシールの上に置き、「さあ冒険の始まり!」と、筆を持ち、冒険をするために水を含ませ、思い思いに筆を進める軌跡が絵の具の線となり表れる。「筆をどこに進めようか」というワクワクと、「線になって表れた」のを見るワクワクが会場中に溢れていました。
自然と、同じ机で表現している他の参加者の画用紙が気になります。「おおそんなかんじ!?」と、お互いの「感じ」を気にしつつも、自分の画用紙に広がる冒険に没頭している様子でした。
線の余白にイメージを表していきます。冒険によって生まれた不規則(?)な形や色から生まれるイメージはそれぞれ。冒険からさらに生まれる冒険からは、「そう感じたのね!」と、自然と鑑賞の活動を含みながら没頭する参加者の姿がありました。


④ 北川先生【回転寿司式鑑賞法】
聞きなれない鑑賞法に興味が湧きたちます。「どんな鑑賞方法なのだろう」と、実際の子どもたちの活動の様子を動画にて視聴した参加者は、それぞれ「アイデアスケッチ」を描き始めます。(それぞれのイメージについては深く掘り下げたいところですが割愛します…)
それぞれのアイデアスケッチを円卓のように広げられた鑑賞台に乗せます。参加者はその周りに立ち、自分の前にやってくる他の参加者のアイデアスケッチを次々と鑑賞できる仕組みが、この鑑賞法のよいところです。何度も鑑賞し、たくさんのイメージに短時間で触れ続ける時間、そして、円になっているのでお互いの表情や声が感じ合えます。
回り続けるアイデアスケッチと、それを鑑賞する参加者の様子が、円となり心地よい空間を生み出していました。お互いの感じを間接的に感じ合える空間が、「回転寿司であれを取ろうかな」とわくわくしながら待つ雰囲気と似ていました。「あのアイデアスケッチ気になるんだよね」と、自分の前まで回ってくる間のわくわくする時間もありました。


  最後にはざっくばらん討論会です。それまで楽しく活動していた参加者が、次の授業で出会う子どもと題材に向けて真剣に考えます。難しい話だけではなく、「どうして?」や「そういえば」と、気軽に話し合えるのも、同じ活動をしたからこそだと思いました。十分な自己紹介をしていないにも関わらず、お互いにリスペクトし合える空間が造形活動を通して生まれるのも、1つ図画工作のよさだと改めて実感しました。
各先生方の実践の詳細については、それぞれの先生による振り返りにてご紹介されると思います。どのような気付きが語られるのか、私自身楽しみにしていますので、ぜひご期待ください。
冬研は、お出かけした先で出会う人や環境、そして造形を通して素敵な空間が生まれます。新しい学びの場に感謝です。次はどこにおでかけするのか、今から楽しみにしています。

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