えのぐに まみれて つつまれて
筑波大学附属小学校 北川 智久
シャカシャカした感触の塗装用養生シート。1.8m幅かと思いきや、広げると3.8m幅に。このシートは、空気を含み、風に舞い、子どもたちを包み込みます。そのような感覚を味わうこと自体にも価値があるように思います。
今回紹介する活動の、私にとってのルーツは、石賀直之先生の「くつしたと絵の具でのスタンプ遊び」です。石賀先生は、ロール紙をつなげて実践されていました。お話を伺うと、石賀先生も他の活動を見てアレンジした活動だったそうです。私は、「安くて面積の広い素材はないかな」とホームセンターを模索していたときに、この養生シートに出会ったのでした。
学校での実践の他に、2018年の第10回ちば造形教育広場(ちばぞう)でも紹介しました。すると、槇英子先生が興味をもたれて、幼児造形の会で紹介してよいかと聞かれました。今では、そちらでもアレンジされて広まっているようです。このように、一人の思い付きが別の人の思いと結びついてアレンジされていくということは、とてもおもしろいと感じます。
写真は、くつしたに絵の具をつけてスタンピングする活動です。ビニル袋を足にかぶせた上からくつしたをはくことで、後始末が容易になります。足の裏がひんやりする感覚は、やってみないと気づけません。右は、共同絵の具と筆の活動です。
くつしたのスタンプもようがついたシートを裏返して、裏面に描きました。表と裏の模様は混じりませんが、持ち上げて光に透かすと重なります。床の上に置いた状態から、頭の上に持ち上げた状態にすると、まるで絵の具に包まれたような気分になります。
子どもたちは大興奮。
おやおや、床にも絵の具がついてしまいました。でもご安心ください。サクラクレパスの工作ポスターカラーは、界面活性剤(洗剤の成分)が入った共同絵の具です。界面活性剤のおかげでビニルやガラスにも描けます。また、ぬれた雑巾やモップで拭くと、きれいにとれます。
この活動の魅力を感じるのには学年を問いません。
今度は、6年生です。しかも、下の写真は「卒業式の前日の授業」です。男女の仲がよく、協働の活動を楽しめるのが私の学校の子どもたちの長所の一つです、思い出に残ったことでしょう。場所は屋上でやりました。空に持ち上げると、光がとおってすてきです。少し風がじゃまですが、パラバルーンのように宙に浮かして楽しみました。後片付けは、ホースとモップで簡単です。 おすすめのBGMがあります。石賀直之先生著による、「リズムあそび×造形あそび」です。サクラクレパス出版部からCDBOOKとして発売されています。販売コーナーにあるかな?