“ 「たのしい図工」がサイコーであるためのサイコウ ”
会長 堀井武彦
まず、第45回児童造形教育研究会「夏の研修大会」をコロナ禍以前に近い形で開催できることを大変嬉しく、感慨深く感じております。これもひとえに、学びの更新と真摯に向き合われるご参会の皆様の誠意的ご支援の賜物であると心より感謝申し上げます。
また、昨年に引き続き会場を提供してくださった東京学芸大学附属竹早小学校管理職の先生方を始め教職員の皆様、更に夏季休業中にも関わらず提案授業への子どもたちの4年ぶりの参加に理解を示してくださった保護者の皆様にも重ねて御礼申し上げます。
「令和の日本型教育」の進捗状況は、、、「令和の図画工作」???
令和3年1月にまとめられた中央教育審議会答申で示された「令和の日本型教育」というキーワードは、コロナ禍真っ只中の混迷状況が
続く教育現場に投げかけられました。臨時休校措置が実施された時期には一気にオンライン教育が注目されましたが、答申は「一方,当た
り前のように存在していた学校に通えない状況が続いた中で,子供たちや 各家庭の日常において学校がどれだけ大きな存在であったのか
ということが,改めて浮き彫りになった。」とも示しています。この指摘は、「もの」との身体性を発揮した対話を基盤とする図画工作教育が最も着目すべき認識ではないでしょうか。そこで、学校だからこそ可能な造形活動の本質を問い直すことを本研修会の主旨としました。
ウェルビーイング(Well-being)の構成要素に「たのしい図工」がサイコー(最幸)を埋め込もう!
OECD は、これからの時代を生きる子どもたちに求められる資質・能力であるウェルビーイング(Well-being)を「生徒が幸福で充実した人生を送るために必要な,心理的,認知的,社会的,身体的な働き(functioning)と潜在能力(capabilities)である」と定義しています。経験則的解釈の域を超えませんが、造形感覚の発揮には心理(情動)、認知(造形要素)、社会(視覚情報)、身体(諸感覚)へ
の働きかけが自明であり、行為や活動を通した潜在的能力の発覚も造形的学びの特色と考えることができます。このように考えると図画工作教育の存在意義が増す気がしてきますが、いかがでしょうか。
園児は「表現」、小学生は「図画工作」。しかし、園児も小学生も「児童」。だから児童造形教育研究会!
今回は、全体会➀提案授業(低学年対象)では、幼児教育が専門の椎橋が授業形式で実践を公開します。幼児教育の実践者が小学生とどのように関わるかは、保幼小の接続を実践的に考える上で興味深い取り組みとなることを期待しています。次に、この実践の振り返りを踏まえつつ、全体会➁トークセッションでは、本研究会を長年牽引されてこられた平田智久先生(十文字学園大学名誉教授)をお招きし
てトークセッションを行います。幼児教育の重鎮であられる平田先生と、図工専科の薄井と堀井の対話を通して、造形教育の本質や保幼小接続を考える場となるよう努める所存です。
題材の教授方法を伝えるのではなく、実技を通して「考え方を体感する」実技ワークショップ 午前中の全体会を通して、「自分だったらこうするかな?」、「自分も同じ対応をしているかも?」、「自分のクラスにも同じ反応をする子がいる!」等々、トークセッションでの議論も含め様々な受けとめがあると思います。それらを実技ワークショップ➀➁(最終案内参照)における体感的な気づきや共感等
を初対面の参会者や講師陣と交流し、共有したことをお土産にしていただければ幸いです。そして、締めくくりは恒例“ざっくばらん討論会”です。本研修会の中で積もった思いを、限られた時間ではありますが、声に出してすっきりさせて、2学期からの弾みにしていただくことを願っております。
【引用・参考文献】https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/sonota/1412985_00002.htm
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答
申)(中教審第228号) 【令和3年4月22日更新】:文部科学省 (mext.go.jp)