練馬区立豊玉第二小学校 河村 泰正
今回の題材は「べちゃっと ぺったん いろいろアート」。4年生で2時間完結の絵の授業です。
段ボールに洗濯のりを飛ばし、粉末ねん土にぺったん!
できた砂の跡を生かしながら、自分なりの表現を楽しむ活動です。
まずは、洗濯のりを飛ばすところから。
「楽しい!」「あっちからも飛ばしてみよう!」
子どもたちは、のりの飛び方や広がり方を楽しみながら、思い思いに試していきます。飛ばす方向や力の入れ方によって、できる形もさまざまです。
そして、のりの付いた段ボールを粉末ねん土に押し付け、そっと持ち上げると……。そこには、思いもよらない砂の跡ができていました。
「なんだろう、この形」「これ、何に見える?」
できた形をじっと眺めたり、段ボールの向きを変えてみたり。自然と周りの人との関わりも生まれます。
「こっちから見ると、あれに見えた!」
見る方向を変えるだけで、違うものに見えてくる。偶然できた形との出会いが、子どもたちの想像を広げていきます。



絵の具で色を付けたり、砂の凹凸を生かして描いたり。中には、砂の上に描くことそのものを楽しむ姿もありました。
「砂にかくのも楽しい!」
最初は、のりを飛ばすことを楽しんでいた子どもが、砂の跡を見つめるうちに何かを思い描き、さらに色や形を加えていく。材料との出会いが、次の「やってみたい!」につながっていきます。


さらに、友達の作品を見て回ると、新たな発見がありました。
「そんなふうに見えるんだ!」「その表し方、面白いね!」
自分とは違う見方や表し方に触れることで、目の前の形がまた違って見えてきます。友達の表現が、自分の表現を考えるきっかけになることもあります。
材料に触れる。形を見つける。自分なりに表す。友達の表現に出会う。そして、また試したくなる。
子どもたちは、一つ一つの出会いを通して、見方や表し方を広げていました。
今回、改めて大切にしたいと感じたのは、教師が材料の使い方や表すものを、初めから決めすぎないことです。
教師が「これを描こう」「こうやって表そう」と先に答えを用意するのではなく、まずは子どもが材料に触れ、試しながら、自分なりの面白さを見つけていく。そこから「これを表してみたい」「もっとこんなふうにしてみたい」という思いが生まれてきます。
もちろん、その思いは一人で考えているときだけに生まれるものではありません。友達の言葉や表現に刺激を受けたり、教師とのやり取りの中で新たな発見をしたりすることもあります。
だからこそ、子どもが自分なりの見方を見つけられる材料との出会いをつくること、そして、互いの見方や表し方に触れられる場を大切にしたいと思います。
子どもの「どうしたい?」は、初めからはっきり決まっているとは限りません。材料との出会い、形との出会い、友達との出会い。その連続の中で、少しずつ生まれ、変わり、広がっていくものなのかもしれません。
教師もまた、子どもの思いがけない発見に驚き、一緒に面白がりながら、次の出会いを支えていく。
子どもと教師が関わり合いながら、それぞれの「どうしたい?」を見つけていく。そんな、正解のない図工の時間をこれからも大切にしていきたいです。

