「どこで暮らしているのかな?」
- 異なる絵を、鑑賞者の自由な見方・感じか方で結んでいく活動です -
東京家政学院大学 立川泰史
感動は、形や色のよさや特徴を「造形的な視点」で捉えることからはじまります。さらに感性を働かせてみると、自分らしい思いを膨らませ、想像の世界を楽しむことができるでしょう。
ここでは、二つの絵を関連付ける「ストーリー」を想像しながら、自分だけの見方・感じ方を深めることを試みます。
クリストファー・ウッド
『The Harbor』 1926
グラント・ウッド『The Birthplace of Herbert Hoover, West Branch, Iowa』1931
アンリ・ルソー『私自身、肖像=風景』1890
クリストファー・ウッド『The jockey』1927
ジョセフ・ホワイティング・ストック『Mary Jane Smithの肖像』1930頃
カジミール・マレーヴィチ
「Young Girl Countryside 」
1929
パウル・クレー
「Temple Gardens」
1920
風景と人物の絵が何枚かあります。それぞれの人が暮らしている場所を想像して、風景と結びつけてみましょう。その組み合わせを説明する物語は、はたしてどのような造形的な視点から産まれたイメージなのでしょう? |
造形的な視点は、形や色の特徴やよさを捉え自分のイメージをもつこと。では、自分のイメージとは、どのように産まれてくるのでしょう?
見たものから受ける感覚的な刺激に基づいていくことは容易に想像できます。が、一方では、自身の経験や知識、長いこと忘れていた思い出、体にしみ込んでいて「意識すらしない感覚」の呼び起こしなども影響しているといわれます。
その個別具体的な感覚経験や記憶のために、とても個性的なイメージが語られることになるのかもしれません。
ところが、わたしたちの暮らしは社会的で文化的な秩序の中で営まれています。どれだけ独自なイメージや語りであっても、「どこかで共感できる」のも当然うなずけます。
今回の観賞活動では、異なる絵のよさや特徴から独自なイメージを膨らませ、想像的な物語でつないでいくことを楽しんでみたいと思います。ひとつの絵が、各自の自由な見方感じ方で多義的・多元的に捉えられていくことが楽しめますように。