東京造形大学 石賀直之
これ結構あるあるだと思うんですが、絵や作品を味わう時、何をどう思っているのかは案外自分ではわからなくないですか?
だからこそ、複数人での鑑賞の体験を通して自分自身に気づいたり理解を深めたりする体験は重要なのだと思います。映画やワールドカップ観た後の感想戦ってあるじゃないですか、あれとかまさに自分の理解や感じ方を気づく機会に結果的になっているんだと思います。
なのですが、ではどうやって美術の鑑賞体験で何をどう思っているか気づけばよいのでしょう。いろいろな方法はあると思いますが、今回はとあるボードゲームにそのヒントを得たいと思います。
ボードゲーム『ピクチャーズ(Pictures)』は、世界的に非常に人気が高く、高く評価されている傑作ゲームです。2020年に「ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)」のボードゲーム部門で大賞を受賞しています。これはボードゲーム界のアカデミー賞とも言われる最も権威のある賞で、世界的にお墨付きの面白さと言えます。いったいどんなゲームだと思いますか?実はコレめちゃくちゃ図画工作っぽいんです。
このゲームは場に並んだ何枚もの「写真」の中から、自分に割り当てられた秘密の1枚を、手元にある「一風変わった素材」を使って表現し、他のプレイヤーに当ててもらう表現・連想ゲームです。
面白いのはそのお題の表現方法(コンポーネント)です。これがとても図画工作的なのです。
以下のような複数のセットをラウンドごとに交代しながら使います。
天然の「石と木の棒」
形の異なる「積み木」
長さの違う「2本の靴ひも」
色がバラバラの「カラーキューブと額縁」
不思議な模様の「記号カード」

この限られた素材を使ってどうにかこうにか示された写真を表現していきます。これらの素材でその写真らしさを伝えるには情報量があまりにも貧しいのでプレーヤーはその写真の中から「最もその写真らしさを象徴しているもの」を選ばざるを得なくなります。つまり、それがその人の感じたことであり、その感じ方をみんなで理解したり共感したりしようとするということです。
もちろんボードゲームなので勝敗をつけますが、実際やってみると勝敗はどうでもよくて、どうにかこうにか表す楽しさやその思いをなんとか理解しようとがんばっちゃう感じが一番の楽しさです。
夏研はこのボードゲームを児造研版にアップデートした実技を行います。ぜひ楽しんで頂ければ、と思います!
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